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マズローの欲求5段階説
マズローは、上図のようにヒトの欲求を5つの階層に分けました。そして、ヒトは下位層の欲求が満たされると、より上位の欲求を満たすための行動をとる、という仮説を唱えました。
誤解しないでほしいのは、たとえば生理的欲求が100%満たされた時にのみ、より高次な欲求とされる安全の欲求が現れる、というものではなく、生理的欲求が25%満たされると安全の欲求が5%現れ、生理的欲求が75%満たされると安全の欲求が50%現れる、といった具合に基本的欲求は重層的なものである、とマズローは考えました。ただし、最上位に位置する自己実現の欲求と下位4層の欲求の間には明確な差異がある、としています。
では、簡単な解説によって各基本的欲求を見ていきましょう。
1)生理的欲求
ヒトが生きる上で必要不可欠な欲求であり、食欲等が該当します。
仮にあらゆる欲求が満たされない場合、この生理的欲求が顕著に現れ、他の欲求は存在しなくなるか、背後に押しやられてしまいます。
・キーワード“仕事”からみた例示
食べるために職業を得たい、といった欲求。
2)安全の欲求
安全、安定した状態を求め、危険や恐怖を回避したいという欲求。次のような物が範疇化されるとマズローはいっています。
「安全、安定、依存、保護、恐怖・不安・混乱からの自由、構造・秩序・法・制限を求める欲求、保護の強固さ等々」
・キーワード“仕事”からみた例示
雇用の安定、賃金保証された仕事に就きたい。
3)所属と愛の欲求
友情や愛情を得るために集団に帰属したい、という欲求。
所属する集団や家族においての位置を切望し、その目標達成のために、一生懸命努力することになる、とします。
・キーワード“仕事”からみた例示
安全の欲求が満たされると、その組織に属していることを実感したい、といった良好な人間関係や信頼関係を築くことを求めます。
4)承認の欲求
自己尊敬、自尊心、他者からの承認などに対する欲求・願望。
これらの欲求は次のように2分できます。
(1)強さ、達成、適切さ、熟練と能力等に対するもの。
(2)他者から受ける尊敬とか承認を意味する評判・信望、地位、名声と栄光、優越、承認、注意、重視、威信、評価などに対する願望。
・キーワード“仕事”からみた例示
自分の仕事を周囲から認められたい。社会から認められたい。地位や名誉がほしい等々。
上記1〜4の基本的欲求は、欠乏動機に促され、他の人間によってのみ満たされるものです。ところが、次に説明する最上位の自己実現の欲求は成長動機に促され、他人はむしろ欲求充足の妨げになる、とさえ考えられています。
5)自己実現の欲求
ヒトは自分がなりうるものにならなければならない。ヒトは、自分自身の本性に忠実でなければならない。このような欲求を自己実現の欲求とよぶ、とマズローは言っています。
その著書「人間性の心理学」において、マズローはさらに「ヒトの自己充足への願望、すなわちその人が潜在的に持っているものを実現しようとする傾向を指している」とも述べています。
そして、当該欲求は下位階層の4つの欲求が先立って満足された場合に、それを基礎にしてハッキリと出現する、とします。
マズローは、自己実現者という表現で普通のヒトと対比していますが、普通のヒトの場合の動機づけは自分の欠けている基本的欲求を満足させるために努力するものとし、自己実現的人間の場合は、基本的欲求の満足については何ら欠けるところはないが、それでもなお彼らには衝動がある。普通の意味でではないが、彼らは働き、試み、野心的である。彼らにとっての動機づけは、人格の成長、性格の表現、成熟、発展である、としています。(人間性の心理学。237〜238頁)
・キーワード“仕事”からみた例示
最終的に、自分が何をしたいのかを明確に意識し、創造力を発揮して業務に挑戦していきたい、という欲求に行きつく。プロ野球選手ならば野球競技で表現されるし、絵を描くことや発明することで表現されることもあり、その個人差は大きい。
一般的会社員ならば、といった枠組みで表現できるものでもなく、上記例のプロ野球選手でも、当然に個人的差異が生じるものと考えられます。
本能としての基本的欲求
『人間性の心理学』でマズローは、全ての臨床家の意見が「基本的欲求に関するフラストレーションが精神病理病因になる」と一致し、基本的欲求が満たされなければ病気になると説いています。さらに、一般的臨床によると、ヒトは安全、愛、尊重が与えられるとき、より良く機能するとされます。例えば、知覚がより効果的になり、知性を十分に用い、考えて正しい結論に至ることがより多くなる、といっています。
これを現在の雇用環境から概観してみると…
安全の欲求の〈キーワード仕事〉にあるように、雇用の安定は労働者の能力をより良く引き出す要因と考えられます。実際に、ユニクロを展開するファーストリテイリング社等で実施された非正規社員の正規社員化による個々の社員のモティベーション向上、それに起因したと考えられる業績アップからもわかるように、安全の欲求の充足がヒトの心にもたらす効用は大きいといえます。但し、安定が慢心につながり初心を忘れると、労働法というフィルターを通せば、安全の欲求達成が弊害に向かう可能性も否定できません。
※労働法の観点からみるポイント
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労働契約法第16条・解雇権濫用法理の明文化、解雇の不自由。
それでも、一部の労働者の弊害の顕在化を恐れるあまり雇用の流動化の名の下に非正規労働者を排出し続けたことで、旧来の日本社会にあったロイヤリティー(忠誠心)を消失させたことは会社帰属意識の衰退に大きな影響を与え、(経済衰退の一因として)結果的に労働生産性の低下につながっているのではないでしょうか?
かつての封建社会ならともかく、現在においてヒトを盲目的に従順化させることは不可能です。いかにその気持ちを高ぶらせ、労働生産性の向上に繋げられるか?
マズローを含めたモティベーション理論は古典的なものも含め、まずは知ることによって企業経営の一助になると考えます。