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モティベーション理論を生かしたマネジメント



1)ヒト、モノ、カネ、情報、ノウハウといった経営資源の中で、社会保険労務士は主としてヒトに関するプロであると自負しています。そのヒトこそが、企業を維持、発展させるために必要不可欠であり、唯一感情を持っている存在です。


 ヒトたる労働者のやる気を上げ、労働生産性を上げる。それを達成するための絶対条件は、労働者の感情(心)をいかに掴むことができるか? ではないでしょうか。


 もちろん、人材を巷間でいわれるようなコスト、とみなすのであれば、当該理論は無用の長物でしょう。しかし。人材を人財とする風潮も存在するように、ヒト=財産という視点で考えれば、モティベーション理論は有意義な考え方でありつづけられます。

 

2)産業・組織心理学では次のような算式が示されます。

成果=能力×モティベーション×(職場)環境

 企業・個人の成果を上げる3つの要素のうち、より即効性の高いものは?

こういった考えからも、いかにモティベーションが重要なのかがわかるでしょう。

 そこで、数あるモティベーション理論の中から、自分に自社に合ったものを知るために、いくつかの理論を簡潔に考察してみましょう。


理論名

提唱者

簡単な説明

選択理論

W・グラッサー

・自らとる行動は、全て自己責任のもとに行われている。

・自分がコントロールできる行動は自分の行動でしかない。相手(他人)が選択する行動を自分はコントロールできない。


X理論・Y理論

マグレガー

1) X理論による組織作り
・その中心は、権限行使による命令、統制である、という階層原則。

2) Y理論による組織作り
・従業員が企業繁栄のために努力することによって各自の目標を最高に成し遂げられるような条件を作ってやるという統合の原則。

2要因理論

(動機づけ・衛生理論)

ハーズバーグ

1) 衛生要因
仕事における環境要因。満たされないと不満足ながら、満たされたとしてもやる気になるわけではない。

2) 動機づけ要因
仕事における意欲要因。満たされなくても不満足はないが、満たされるとやる気になる。

欲求5段階説

マズロー

・人間というものは、相対的にあるいは1段階ずつ段階を踏んでしか満足しないものであり、色々な欲求間には、一種の優先序列の階層が存在する。
@生理的欲求

A安全の欲求

B所属と愛の欲求

C承認の欲求

D自己実現の欲求


フロー理論

チクセントミハイ

1)フロー体験とは?
 〜正さねばならない無秩序や防ぐべき自己への脅迫もないので、注意が自由に個人の目標達成のために投射されている状態。

例えば、ゲーム中のテニス選手やチェス競技中のプレイヤー等がその著書では紹介されています。我が国でいえば試合中のプロ棋士といった方々を連想できます。



参考・参照文献

・「グラッサー博士の選択理論」    ウイリアム・グラッサー 著

・「新版 企業の人間的側面」     ダグラス・マグレガー 著

・「働くみんなのモティベーション論」 金井壽宏 著

・「新版 動機づける力」 DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部

・「きほんからわかるモチベーション理論」 池田光等 著

・「モチベーション入門」       田尾雅夫 著

・「改訂新版 人間性の心理学」    A・H・マズロ― 著
・ 「完全なる経営」                A・H・マズロ― 著
・ 「フロー体験 喜びの現象学」        M・チクセントミハイ 著
・ 「モチベーションマネジメント」        小笹芳央 著

 等々