従業員情報はどうなる? |
小さな組織でも、従業員を雇用していれば個人情報を保持していることになります。これまでも履歴書、職務経歴書等といった従業員に関する情報は受け取り、保管されてきたことでしょう。そして、多くの事業者はこれらを大切に保管されていると思います。
この面から見れば、個人情報保護法全面施行の影響はさほど大きくないかもしれません。しかし、従業員の個人情報は履歴書等に限定されるものではありません。
厚生労働省「労働者の個人情報の保護に関する指針」(H12.12.20)でも、次のようなものがその対象になるとされています。
基本情報 |
住所、電話番号、年齢、性別、出身地、人種、国籍など |
賃金関係情報 | 年間給与額、月間給与額、賞与、賃金形態など |
資産、債務情報 |
家計、債権、債務など |
家族、親族情報 |
家族構成、同・別居、扶養関係、結婚の有無など |
思想・信条情報 |
支持政党、政治的見解など |
身体、健康情報 |
健康状態、病歴、心身障害、メンタルヘルスなど |
人事情報 |
人事考課、学歴、資格・免許、処分歴など |
私生活情報 |
趣味、嗜好、交際・交友関係、住宅事情など |
労働組合関係情報 |
所属労働組合、労働組合活動歴など |
このように、従業員の氏名と結びついている限り、全て個人情報になります。
社会保険労務士業務と関連すれば、当然に次の情報も個人情報とされます。 |
・賃金台帳 ・住所届 ・給与振込み依頼書 ・健康診断結果表 ・社員名簿 ・健康保険各種届出書類 ・厚生年金保険各種届出書類 ・雇用保険各種届出書類 など |
管理はきちんとなされているか? 従業員数に関係なく、確実に管理を行う必要がありますから、点検、改善、定期的なチェックは怠らないようにすべきです。
ここで、事業主が気になる従業員情報の取扱について記します。
・従業員の人事考課に関する情報の開示を求められる前の対応 従業員の評価に関する情報については、これまで従業員本人に開示している事業所は少ないでしょう。しかし、個人情報保護法全面施行後は、こういった情報に関して従業員から開示請求される場合も考えられます。 ひとつの考え方としては、同法第25条1項2号に基づき、「事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼす恐れがある」として、開示請求を拒むことが出来るとされています。しかし、全ての開示が「著しい支障をきたす」のか? といった意見もあります。 そこで、事業主としての対応ですが、厚生労働省のガイドライン(雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針)により、事業者はあらかじめ労働組合等と必要に応じ協議した上で、同法第25条1項2号に該当するとして非開示とすることが想定される保有個人データの開示に関する事項を定め、労働者等に周知させるような措置をとることが望まれます。 ですから、事業者は、あらかじめ、評価に関する情報が非開示になる旨を定め、労働者等に周知しておくことで、いらぬ争いを避けることができると考えられます。 上記のガイドラインでは、この方法については努力義務ですが、できるだけ事前に実施されることをお勧めします。 |
たなか社会保険労務士事務所
社会保険労務士/キャリア・コンサルタント
田中 雅也
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