参考判例 : フジ興産事件 最高裁 平成15.10.10
「使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことが必要。そして、就業規則が法的規範としての性質を有し、拘束力を生じるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続きが採られていることが必要。」
ただし、周知方法についての規定、労基法第106条1項所定の周知方法を欠いたとしても、労基法第120条の罰則適用はともかく、就業規則としての効力までは否定されない、ともいわれています。(朝日新聞小倉支店事件 大法廷判決 昭27.10.22)
周知方法云々ではなく、それ以前の問題として、まったく周知していない、といった事実は、就業規則を定めていないのと同じでしょう。これではいざ労使問題が噴出した場合、事態を解決あるいは会社にとって有利にことを運ぶ可能性を放棄した、と言わざるを得ません。
権利を主張するのならば、それに付随する義務の存在をしっかりと把握し、権利と義務を絡めて考察するようにすべきです。少なくとも、義務を果たしておけば、恐れることはありません。
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